2011年7月2日土曜日

放射線ってなんだろう? その7:放射線その3(ガンマ線)

前回は陽子と中性子が入れ替わるベータ線の話でした。
今回は原子から出る光の話だよ。

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不安定な原子は、アルファ線やベータ線という放射線を出して、安定な状態になろうとするんだけど。ときには放射線を出しても、まだ力が余っている場合がある。

その余っているエネルギーは「光」という形で放出される。
これがガンマ線。
ガンマ線
ガンマ線は「光」。
僕たちが知ってるあの光。虹色してる可視光線の仲間だ。
種類がちょっと違うだけ。

光は「波であり粒である」というヤヤコシイ存在。
だからガンマ線も可視光線も、波としての性質を持っている。
その一つが「波長」。

この「波長」というのは、波のピーク間の距離。
波と波の間。この距離が波長。
光には「波長0.01nm以下の波から波長1km以上の波」までいろんな種類がある。
可視光線は「波長400nmから700nm」の光。数多くの光のほんの少しのエリアしか、ヒトは認識できない。
長い波長と短い波長 (Image from wikipedia)

さて、放射線はどのエリアに位置しているのだろうか。
下の表(波長一覧表)を見てほしい。
This image comes from the English Wikipedia (Original author : Philip Ronan)
ガンマ線の波長は「0.01nm以下」。表の一番左「γ rays」って書いてある場所。
そして、レントゲン写真でお馴染みの「X線」はその右にいる。波長は「0.1nm」くらい。

「ガンマ線」と「X線」。あまりにも似ているため区別は難しい。
だから、生まれてくる場所で区別している。

原子の中心から出てくる光を「ガンマ線」
原子の周りにある電子から出てくる光が「X線」

実際の原子でガンマ線を見てみましょう。放射性セシウムです。
Cs137→Ba137m→Ba137。ベータ線とガンマ線を放出。
「セシウム137」の大半はベータ線(電子)を放出して、「バリウム137m」に変化する。変化した直後の「バリウム137m」は依然としてエネルギーが高い状態。高エネルギーの「バリウム137m」は「ガンマ線」を出して低エネルギーの「バリウム137」になります。

これで原子は安定。もう放射線は出さない。
放射性同位体「セシウム137」は、まず「ベータ線」を。続いて「ガンマ線」を放出して、安定した原子「バリウム137」になるのです。

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さて次回は、DNAと放射線のお話。放射線が生物に与える影響について。

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